耳鼻咽喉科Q&A:のど編


Q3:
最近、食事中によくムセるようになりました。時々自分の唾液で咳き込むことがあります。老化でしょうか。

A3:
食べ物や唾液、逆流した胃液などが誤って気管から肺に入り肺炎を引き起こす病気を「誤嚥性肺炎」といいます。高齢者になると誤嚥の危険性が高くなり、誤嚥性肺炎になる人が増加します。なぜ高齢になると誤嚥の危険性が高くなるのでしょうか。




 食べ物がのどを通過する時、喉頭挙上筋群(こうとうきょじょうきんぐん)と呼ばれる筋肉がのど仏を引き上げることによって、気管と食道の分岐点にある喉頭蓋(こうとうがい)が気管に蓋(ふた)をします。この動きで食べ物が気管から肺に入り込むことを防いでいるのです。この気管に蓋をする動作は、高齢になると喉頭挙上筋群や反射の衰えによって上りが悪くなりタイミングがずれ、食べ物が気管に入ってしまうのです。

 誤嚥性肺炎の予防には何が必要なのでしょうか。実は筋肉の衰えで40代からのど仏の位置は少しずつ下がり始め、喉頭蓋で気管に蓋をしにくくなっていきます。70代を過ぎると、さらにのど仏の位置が下がってしまい、誤嚥が顕在化するのです。おすすめするのは、のど仏の筋肉を鍛える体操です。のど仏を動かすのど周辺の筋肉を鍛えれば、ある程度機能を回復することができます。




 のど仏を上下させる喉頭挙上筋群を鍛えるトレーニング。忙しい人はまずはこれだけでも行うことから始めましょう。

1.嚥下おでこ体操



 おでこと手で押し合う。へそをのぞき込むようにあごを引き、おでこに手根部を当てて、手とおでこで5秒間押し合う。その時、のど仏にグッと力が入って上がっていればOK。5〜10回。

2.あご持ち上げ体操



 下を向いて力いっぱいあごを引き、同時にあごの下に両手の親指を当てる。あごは下に、指は上へと同時に力を入れ、押し合う状態を5秒間キープ。のど仏周辺に力を入れる。5〜10回。

 食べる姿勢も重要です。テーブルが遠く、背中を丸めて首を突きだした状態では誤嚥を起こしやすいといわれています。椅子とテーブルの高さが合わなかったり、距離があったりしたことが原因で誤嚥性肺炎になってしまった人もいます。テレビを見ながら食事する『ながら食べ』もよくありません。また、のみ込みにくい食材を避け、とろみなどを活用しながら、集中して食べることが大切です。きちんと食べ、栄養を取ることが肺炎を防ぐことにつながります。





 自力で食事を楽しみ、健康でいる時間を長くするためにも、日ごろからのどの筋肉を鍛えることを意識してみましょう。

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